お〜

私の亡き友人のことが載っていました。山田五郎さすが!
http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000480905180002
記事がそのうち消えてしまうと思うので、転載。


山田五郎のワケあり!

壁黒猫(豊島区・雑司が谷

2009年05月16日

◆吾輩は愛されている

 寺町には猫がよく似合う。東京でいえば、台東区の谷中がいい例だ。そして豊島区の雑司が谷にも、一風変わった人気の町猫がいる。

 南池袋公園から鬼子母神にかけて出会えるその猫は、雨が降ろうが風が吹こうが微動だにしない。それもそのはず、猫といっても、壁や電柱に黒いスプレー塗料で描かれた落書きだから。

 名づけて、「雑司が谷(あるいは南池袋)の壁黒猫」。誰がいつ何のために描いたのかは、わからない。

 ポーズは、横向きと後ろ姿で数種類。いずれもなかなかの秀作だ。シルエットだけの単純な絵で、タッチも素人っぽいのだが、猫の雰囲気をよくとらえ、いかにもいそうな場所を選んで描いている。落書きなのに多くが消されず残っているのも、猫好きが多い土地柄になじんでいると認められた証拠だろう。

 雑司が谷2丁目にお住まいの成田邦宏・ひろみさんご夫妻は、02年の7月ごろに「壁黒猫」を発見して以来、町中を探し回って、手作りの分布マップを作製。ある道筋に沿っているので、同一人物が一晩で描いた可能性もあるという。その後、別人の手によると思われる新作も発見された。

 南池袋3丁目で「古書往来座」を営む瀬戸雄史さんは、近所の小学校が統廃合で取り壊される際、「壁黒猫」が描かれた塀の一部をコンクリートごと切り出してもらい、店の横に飾っている。「壁黒猫」のモデルは、鬼子母神の裏道にいた野良猫で、近所の人から「黒ちゃん」などと呼ばれ愛されていた黒猫ではないかとのこと。ちなみにこの黒猫は、昨年11月に他界した。

 「壁黒猫」も、そんな寺町・猫町ならではの人情に守られてきたわけだ。雑誌やネットで話題になったこともあり、今では「壁黒猫」を見るために雑司が谷を訪れる人もいる。

 いうまでもなく落書きは、刑法に定められた器物損壊にあたる犯罪だ。「雑司が谷の壁黒猫」にしても、迷惑している人もいるだろう。

 だが、その一方で、この落書きが町に一定の活力と潤いを与えていることも確かな事実。落書きは決してほめられた行為ではないが、それを受け入れる町の懐の深さは手放しでほめたたえたい。

本日の物件 判定は…
★★★★☆

判定のワケ
描かれたワケは不明だが、消されずに愛されてきたワケは町のあちこちで実感できたので、ワケあり度は星四つ。

◆電信柱の下にもひっそり

「壁黒猫」のいる雑司が谷地区は、「吾輩(わがはい)は猫である」で有名な夏目漱石も眠る雑司ケ谷霊園があり、ゆっくり走る都電など、閑静で懐かしい雰囲気が漂う。昨年6月には地下鉄副都心線の駅が開業した。成田さんの調べで20カ所ほどいたという「壁黒猫」は、描かれていた壁が壊されたり消されたりして、いまの数は減っている。南池袋3丁目の法明寺の近辺などに比較的多く残っており、電信柱の下など思いがけないところにいるようだ。