今日の新聞より

 私たちの取るべき責任は・・・市民生活が健全に保たれるように政府・企業を監視し、法を守らせ、一人一人の命と暮らしを守る政治を行わせる、という責任である。「お金がないから仕方ない、不況だから仕方ない」と言って、結果的に弱者の命を削ることになる政策を採用しようとする政治家は、いくらでもいる。しかしそのとき、医者は「この患者を見殺しにしろと言うのか」と、介護ヘルパーは「この寝たきりのお年寄りを放置しろと言うのか」と、労働者は「今日まで一緒に働いてきたこの仲間を路上に放り出せと言うのか」と異議申し立てしなければならない。それが、市民としての責任だ。

 
 上の文章は、今日の朝日新聞朝刊の湯浅誠さんの言葉です。岩波新書『反貧困』の大仏次郎論壇賞の受賞を受けての文章でしたが、新書ともども秀逸。
 現在の政治に対する愚痴や不満の類は巷に溢れています。しかし、そんな愚痴や不満を口にする人々のなかでどれだけの人が、その状況を真に自分自身や自身の身の回りの問題として考えているでしょうか。隣の席の派遣社員が解雇されそうになった時に「今日まで一緒に働いてきたこの仲間を路上に放り出せと言うのか」と果たしてどれだけの正社員が言えるでしょうか。とても難しいことだと思います。でも、せめてそのような事態に対しての「痛覚」は鈍感にしたくない。そう思います。